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管理ができない料理長が増えている・・・

管理ができない料理長が増えている・・・

最近、料理長としての管理能力が足りない人が目立つようになった。これは増加したというより、職人の世界特有の文化が原因だ。調理業界では昔から「自分の背中を見て覚えろ」「口を出すな、まずは言うことを聞け」という価値観が根付いている。そのせいで、普通の会社で行われているような育成やマネジメントがうまく機能していないことが多い。

料理長の役割の誤解

もちろん、管理ができる料理長もいる。しかし、実感としては8割くらいの料理長が「料理長の仕事は料理を作ることだ」と思い込んでいる。その結果、若手の調理師が育たないどころか、すぐに辞めてしまう状況が続いている。さらに、パワハラが原因で警察沙汰になるケースや、調理業界全体から人が離れていく現象も増えている。その結果、厨房は40代、50代、60代の調理師ばかりになり、若い人が定着しない職場が多い。
なぜ管理ができないのか
今の50代、60代の料理長たちは、上の世代から受け継いだ教え方をそのまま使っている。その上の世代は、いわゆる"猛烈パワハラ世代"だった。だから、自分が経験した方法でしか後輩を指導できず、結果としてパワハラや非効率な管理が常態化している。「料理を見て盗め」という考えがまだまだ根強く、ちゃんとした育成が行われていない。

育成が成功している現場の特徴

一方で、若手の育成がうまくいっている現場には共通点がある。

①細やかな配慮をする料理長:指示を出すときにレシピをしっかり共有し、写真付きで具体的に説明するなど、分かりやすく伝える工夫をしている。

②柔軟な上下関係:厳しすぎない上下関係を作り、若手が相談しやすい雰囲気を作っている。

③管理を理解:若手が辞めたら自分の責任である。次の人を入れるのにもお金がかかる。それを理解できるだけで結果は大きく違う。
こういった配慮ができる料理長は、自然と職場の信頼を得て、若手が安心して働ける環境を作れている。

旅館経営者と料理長が求めていることがまったく違う!

最近、旅館経営者からよく聞く悩みが「管理ができない料理長」だ。「料理は普通でいいから、管理がしっかりできる人がいい」という声が多い。つまり、経営者にとっては料理の腕よりも管理能力のほうが重要視されている現状がある。

料理長と経営者のギャップ

旅館経営者が求めるのは【管理力】だ。しかし、多くの料理長が重要視しているのは【料理力】だ。このギャップが現場の改善を難しくしている。

料理長の典型的な発言として、「俺はあの名門旅館で修業した」「俺の師匠は〇〇だ」「俺にできない料理はない!」というものがある。一方、経営者からは「料理は普通でいいから管理をしっかりしてほしい」という要望が主だ。

この違いから、「仕事ができていない!」と指摘されても、料理長は「いや、私は仕事をしている!」と反論し、現場の改善が進まない状況が生まれる。価値観のすれ違いが現場を停滞させる大きな要因となっている。

現代の料理長に求められるスキル

料理長は、料理を作るだけではなく、中間管理職としての役割も求められる。

〇部下の育成

〇現場の円滑な運営

〇トラブルの予防と解決

50代、60代の料理長にとって、自分を変えるのは簡単ではない。それでも、今の若手を育てることがこの業界の未来を明るくするためには必要だ。「自分が教えられた方法」を見直し、若い世代が働きやすい環境を作る努力が求められる。

調理業界で成功する料理長になるためには、管理能力を身につけることが最も重要な課題だ。