料理長に「コミュニケーション力」は必要か?
かつての厨房は「背中を見て覚えろ」の世界だった
ひと昔前の厨房では、「俺の背中を見て覚えろ!」という指導が当たり前で、一種の美学として語られてきました。
そこで評価されたのは、技術を「見て盗む」こと以上に、
そこで評価されたのは、技術を「見て盗む」こと以上に、
- 上司にかまってもらえなくても、自分から食らいついていく
- 怒鳴られても辞めずに耐え抜く
- 教わるのではなく、自ら学び取る
といった「ガッツ」でした。いわゆる職人気質の文化です。
しかし、時代は大きく変わった
現代では、こうした文化は若い世代にも、コンプライアンスが重視される今の職場にも受け入れられにくくなっています。
その背景には、若い世代がこれまで受けてきた教育との違いがあります。
Z世代やゆとり世代は、少子化の影響もあり、以前の世代と比べて、一人ひとりの個性や気持ちに向き合い、丁寧に指導してもらう教育を受けてきた傾向があります。
その背景には、若い世代がこれまで受けてきた教育との違いがあります。
Z世代やゆとり世代は、少子化の影響もあり、以前の世代と比べて、一人ひとりの個性や気持ちに向き合い、丁寧に指導してもらう教育を受けてきた傾向があります。
つまり、厳しさや上下関係を重視する従来型の教育とは、ある意味で「真逆の教育」を受けてきた世代ともいえるのです。
ギャップが生む、現場の混乱
一方、昔の文化の中で育ってきた料理長世代(40代〜60代)の中には、
「自分もこうやって育ったのだから、部下も耐えられるはず」
という考えのまま部下に接してしまう方もいます。その結果、
「自分もこうやって育ったのだから、部下も耐えられるはず」
という考えのまま部下に接してしまう方もいます。その結果、
- チームの統率がとれない
- 若手が早期に離職してしまう
といった問題につながり、こうした料理長は次第に現場から求められなくなっています。
今の料理長に求められる「2つの力」
こうした時代に料理長に最も求められるのは、世代ごとの文化を理解したうえでの、次の2つの力です。
- コミュニケーション力:自分の考えや想いを、きちんと言葉にして伝える力
- ヒアリング力:相手の気持ちを汲み取り、理解する力
料理長という管理職の仕事は、
- 会社の方針をしっかり汲み取り
- 部下一人ひとりが理解できるよう噛み砕き
- 伝えて、チームを動かすこと
です(逆に、部下の声を会社へ届ける役割もあります)。
だからこそ、必要以上にコミュニケーションをとる姿勢が欠かせません。
だからこそ、必要以上にコミュニケーションをとる姿勢が欠かせません。
この2つの力は「面接」で必ず見られている
では、この力はどこで測られるのでしょうか。答えは面接です。
- 志望動機は何ですか?
- 部下のマネジメントはどのようにしていますか?
- 将来のビジョンは何ですか?
こうした定番の質問に一問一答でしか答えられない料理長は、ほぼ確実に不採用になります。
※一問一答とは、ひとつの質問に対して一言・一文だけで返してしまうことです。
※一問一答とは、ひとつの質問に対して一言・一文だけで返してしまうことです。
✕ NG例
答えとして間違ってはいません。しかしこれでは、あなたの考えや人柄、伝える力が面接官に届きません。
◯ OK例
Q. 志望動機は何ですか?
修業時代に大変お世話になった師匠がおりまして、その方から常々「料理は手先を見るのではなく、その先にいるお客様の顔を見て作りなさい」と言われ、それを座右の銘としてきました。
業務に追われるとつい初心を忘れがちですが、やはり「お客様に喜んでいただくこと」が私の仕事の軸だと考えています。
そんな中、御社のホームページを拝見し、お客様への気遣いが随所から感じられました。最後の転職先としてふさわしい職場だと思い、応募いたしました。
業務に追われるとつい初心を忘れがちですが、やはり「お客様に喜んでいただくこと」が私の仕事の軸だと考えています。
そんな中、御社のホームページを拝見し、お客様への気遣いが随所から感じられました。最後の転職先としてふさわしい職場だと思い、応募いたしました。
▶ ポイント:原体験 → 仕事の軸 → 応募先との接点、の流れで「なぜここなのか」が伝わる。
Q. 部下のマネジメントはどのようにしていますか?
口頭で伝えるだけでは漏れや認識違いが起きるので、写真にできるものは撮影して各自のスマホへ送るか、プリントアウトして各所に貼るようにしています。
若いスタッフへの指導では、できないことがあっても、できている部分を探して褒めることを大切にしています。まず自信をつけてもらい、料理を好きになってもらうことを一番に考えています。
料理が好きでこの世界に入ったのに「料理長が怖いから仕事に行きたくない」となってしまっては、若い世代が育ちませんから。
年配のスタッフや年上の方には、頭ごなしに指示するのではなく、「なぜそうするのか」という理由を添えて、理解していただく努力をしています。
一番大事なのは、「料理長だからみんなが言うことを聞いて当たり前」という気持ちを捨てることだと考えています。
若いスタッフへの指導では、できないことがあっても、できている部分を探して褒めることを大切にしています。まず自信をつけてもらい、料理を好きになってもらうことを一番に考えています。
料理が好きでこの世界に入ったのに「料理長が怖いから仕事に行きたくない」となってしまっては、若い世代が育ちませんから。
年配のスタッフや年上の方には、頭ごなしに指示するのではなく、「なぜそうするのか」という理由を添えて、理解していただく努力をしています。
一番大事なのは、「料理長だからみんなが言うことを聞いて当たり前」という気持ちを捨てることだと考えています。
▶ ポイント:具体的な工夫・相手に応じた接し方・自分の信念まで語れている。
Q. 将来のビジョンは何ですか?
この地域で一番の旅館にしたいと考えています。
料理がおいしければ、その旅行は最高の思い出になり、数年後にまたリピートしていただける。
これを毎日意識して積み重ねていけば、必ず業績は上がると思っています。
ただ、自分一人ではできませんので、同じ想いを持った部下を育てていきたいです。
自分自身もまだまだ未熟ですので勉強を重ね、将来的には調理師人生の集大成として、ミシュランの星を獲りたいと思っています。
料理がおいしければ、その旅行は最高の思い出になり、数年後にまたリピートしていただける。
これを毎日意識して積み重ねていけば、必ず業績は上がると思っています。
ただ、自分一人ではできませんので、同じ想いを持った部下を育てていきたいです。
自分自身もまだまだ未熟ですので勉強を重ね、将来的には調理師人生の集大成として、ミシュランの星を獲りたいと思っています。
▶ ポイント:会社への貢献・部下の育成・自身の成長の3つがつながっている。
料理の腕だけでなく「伝える力」が料理長の価値になる
これからの時代に選ばれる料理長は、料理の腕に加えて、
- 世代ごとの価値観の違いを理解している
- 自分の考えを、具体的なエピソードを交えて言葉にできる
- 相手の気持ちを汲み取り、チームをまとめられる
という力を備えた人です。
そしてその力は、面接での受け答えにそのまま表れます。
そしてその力は、面接での受け答えにそのまま表れます。
面接は、あなたのコミュニケーション力を見せる最初の場です。
定番の質問こそ、自分の言葉でしっかり準備して臨みましょう。